防湿梱包

防湿梱包 湿気防止のための原理と法則、その対応について。

防湿梱包 湿気と飽和水蒸気

湿気発生の仕組み

湿気の発生状況
湿度とは、空気中の水分量のことです。湿度には絶対湿度と相対湿度がありますが、普段使われてる湿度という言葉は主に「相対湿度」のことを指します。
相対湿度はその温度で含むことができる水蒸気量の上限(飽和水蒸気量)に対し、実際にどの程度水蒸気が含まれているかをパーセンテージで示したものです。温度によって空気中に含むことができる水蒸気量の上限は変わります。高温状態では相対湿度は上がり、低温になると下がります。冬に空気の乾燥を感じるのはこのためです。結露とは、低温になることで空気の飽和水蒸気量が小さくなり水分が気体から液体になる現象です。水に弱い製品を輸送したり保管したりする際には、相対湿度と製品に含まれている水分量などを精査し適切な防湿梱包材を使用する必要があります。

飽和水蒸気量とは
空気中に水を水蒸気として保てる上限は温度によって決まっています、これを飽和水蒸気量といいます。
入浴時に窓や鏡が結露した経験は誰しもあると思います。それを例に説明を行います。

飽和水蒸気量

25℃相対湿度90%の浴室に含まれる水蒸気量は、飽和水蒸気量の表から計算できます。
23.07×90%=20.76g/㎥
この浴室の空気が10℃の窓ガラスによって冷やされたとすると、窓ガラス付近の飽和水蒸気量が9.41g/㎥まで減少します。
20.76-9.41=11.35g/㎥
1㎥あたり11.35gの水が水蒸気として存在できずに液体の水になります。これが温度の低いガラスに付着するため結露となるのです。
そしてこれは梱包した中でも起こる現象なのです。

水蒸気量

防湿梱包の仕組み 包装における防湿の考え方

包装における防湿の事例
A社では25℃相対湿度60%の環境で製品を厚み60μのPE袋で梱包しています。袋の大きさは1㎥で、製品は金属製で大きさは0.9㎥です。よって包装中の空間は0.1㎥です。この際の包装中の水蒸気量は以下のようになります。
23.07×60%=13.84g/㎥ 13.84×0.1=1.38g
よって包装中に1.38gの水蒸気が含まれています。この包装で冷暗所へ保管していたところ製品への悪影響は見られませんでした。ですので、この梱包形態で30℃相対湿度80%の外気環境中を7日間で目的地へ輸送する予定です。袋の中の水蒸気はどのように変化するでしょう。

防湿とは

30℃相対湿度80%の外気環境なので水蒸気は30.39×80%=24.31g/㎥ 。0.1㎥では2.4g、PE袋の透湿度は8g/㎡・24hとして計算します。1㎥の袋の表面積は6㎡なので、24時間でPE袋は48gの湿度を透過することになります。 外気との水蒸気量の差は、2.4-1.38=1.02gなので、1.02÷(48÷24)×60=30分。つまり、PE袋で梱包はしているにも関わらず梱包内の水蒸気量はわずか30分で外気環境と変わらなくなってしまいます。
どうすればこのような状況を防げるのでしょうか。

ポイントとなるのは、梱包時の環境と梱包資材の透湿度、包装資材の表面積、乾燥剤です。
今回は保管テストを実施していますので、梱包時の環境は適性だったと判断できます。梱包環境が高温多湿であったりすると、低温環境になった際に結露がおこり水濡れトラブルの原因となります。

PE袋は透湿度が8g/㎡・24hなため、包装内部へ水蒸気が透過していまいます。水蒸気や酸素から製品を保護する機能(ガスバリア性)が通常のフィルムよりも優れているバリアフィルムを使用することでより薄い基材で、透湿度を1g/ ㎡・24h以下に抑えることが可能となります。 1㎥の袋の表面積は6㎡ですので、6g/24hの湿度を透過します。ですから外気と同等の湿度に達する時間は、1.02÷(6÷24)×60=244.8分 (約4時間)となります。しかし、これでも7日間袋の中を低湿環境に維持することは困難です。梱包資材の表面積を小さくすることができれば湿度の透過量の抑制は可能ですが、梱包する製品の大きさが決まっており、袋の大きさを後から変更することは困難な場合がほとんどです。

そのような時に必要となるのが乾燥剤です。バリアフィルム包装で6g/24hの湿度を透過するので、7日間の輸送中は6×7=42gの湿度流入があると考えられます。50g吸湿可能な乾燥剤を用いれば8日分の吸湿が可能で、これにより包装内の環境を維持できます。これがPEフィルム包装では48g/24hの湿度を透過するため、48×7=336g吸湿する必要があります。バリアフィルムと比べ6倍以上の乾燥剤が必要となりコストが高くなることがわかります。

防湿シート

防湿シート(アルミ箔・アルミ蒸着ラミネートなど)

バリアフィルム

防湿カバー、湿気を通さない袋

アルミ箔やアルミ蒸着フィルムに防湿・防水ラミネートを施した防湿シートや、防湿シートを利用した防湿カバー、湿気を通さない袋(アルミラミネート袋)も弊社で製造可能です。
→アルミラミネート製品一覧を見る

梱包過程での防湿方法

梱包過程でできるだけ湿度を含まないようにする方法もあります。

 1.梱包作業時に湿気を含まないよう手早く梱包する
2.梱包作業空間の湿度を下げる
3.包装資材の表面積を小さくして水分の侵入を防ぐ
4.乾燥剤を封入する


※以上の方法には限界があり、包装資材そのものに防湿機能を付与することが最も確実です。

防湿梱包資材の種類

アルミ蒸着フィルム
アルミ蒸着フィルムは、プラスチックフィルムにアルミを蒸着して作られます。蒸着とはアルミニウムを高真空のチャンバー内で1400℃に加熱して蒸発させ、プラスチックフィルムに膜のように付着させる方法です。アルミ蒸着フィルムはアルミ箔と比べて、単位面積当たりのアルミの使用量が少なく低コストです。一般的なアルミ箔の厚さが約30μなのに対して、アルミ蒸着フィルムのアルミニウムの厚さはたったの0.05μです。光沢がありパッケージとしての見栄えも良く、さまざまな補強材とラミネート加工され、水蒸気やガスに優れたバリア性を発揮します。
透明蒸着フィルム
透明蒸着フィルムはセラミック蒸着フィルムともいいフィルムに酸化ケイ素を蒸着させたものです。酸化ケイ素はガラスの原料となる素材で、湿気を通さず透明で中身を外に見せることができます。輸出機械梱包などで税関で中の様子がわかるようにとこの透明蒸着フイルムが採用されています。またマイクロ波を通すため電子レンジにも対応でき、レトルト食品のパッケージなどにも広く使われています。金属を含まないので製菓工場ラインの金属検出器に反応しないというメリットもあります。
保冷バッグ
保冷バッグは、熱の移動を抑制することで温度を一定に保つことができる容器です。医療用や食品用に使用されています。保冷バッグを構成している資材には、保温効果だけではなく、防水効果および調湿効果もあるため、防湿梱包としても使用可能です。
株式会社ウインテックスでは、業務用の保冷バッグや断熱シートを自社一貫生産で製造販売しています。
→業務用保冷バッグ製品ページを見る
防湿梱包1

アルミコーティングクロス袋

防湿梱包2

ラミネート製品

防湿梱包3

バリアフィルム

防湿梱包4

防錆塗工紙

(↑画像クリックで詳細ページへ移動します)
上記以外にもポロプロピレンを延伸した透明なOPPフイルム(2軸延伸ポリプロピレンフィルム)など、お客様のご利用の用途に合わせた防湿梱包材を選ぶ必要があります。弊社にお声がけ頂ければ製品物性や輸送・保管の環境に最も合致した適切な資材をご提案致します。お問い合わせフォームより
お気軽にご相談ください。
→「防錆製品」を見る
→「ラミネート製品」を見る

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